銀行は中小企業をランクづけしている

皆さんは「債務者区分」知っていますか?
よく、「銀行は雨が降っている時には傘を貸さない」などどいいます。
その原因は金融機関のランクづけにあるのです。

金融機関は会社を以下の6つにランクづけしています。

  1. 正常会社・・・黒字の会社
  2. 要注意会社・・業績低迷、赤字の会社
  3. 要管理会社・・返済遅れ三月以上又は借入条件を変更した会社
  4. 破綻懸念会社・営業損失、大幅な債務超過の会社
  5. 実質破綻会社・営業停止の会社
  6. 破綻会社・・・破産会社、清算会社、銀行取引停止の会社

このランクによれば、赤字を計上した会社はそのすべてが「要注意会社」に なってしまうので、次の場合は例外となっています。

@ 一過性の赤字である場合
 これは、経常利益はでているが、固定資産の廃棄損などの臨時損失によ
り赤字になった場合です。ただし、その赤字金額が今後2年間で解消できないくらい大きな場合はダメです。

A 創業時の赤字である場合
 これは、創業時に生じた赤字の場合です。ただし、5年以内に黒字化する
見込みであり、売上や経常利益が当初計画の70%を達成する見込みでなければダメです。

金融機関は、「要注意会社」以降の会社には、なかなか融資してくれません。
ですからこのランクづけには、中小企業独特の事情に配慮して行うようにな
っています。
「役立つ情報」では、今後、金融機関が会社をランクづけする時の特殊事情
について、「金融検査マニュアル」の事例を参考に掲載していく予定です。

社長の借入金が多額にある場合(A社)

(会社の状況)
 A社は近所にできた大型店舗の影響を受け、売上が徐々に減少している。そのため、2期連続の赤字を計上してしまい、債務超過になってしまった。
 社長は地元では人望のある人物で、事業意欲も強い。
 しかし、連続赤字で債務超過にあることから会社では銀行への返済資金を捻出できず、このため、社長個人が返済資金を会社に貸し付けることにより銀行に返済している。
 なお、リスケ(銀行への返済条件の緩和)は行っておらず、返済が遅れたことはない。

(銀行の見方)
 A社の経営状況では返済能力はないが、債務者区分を判断するにあたっては、社長からの借入金を自己資本と考えることができ、結果として、A社の財務内容は実質的に資産超過になる。そして、今後見込まれる赤字を考慮しても債務超過にならず、かつ、社長個人に資産余力が十分にある場合には、正常会社として判断できる。
 なお、社長からの借入金が返済されていない状態にあることが必要です。

多額の社長の給与により赤字となっている場合(B社)

(会社の状況)

 景気低迷の影響から売上は横ばいとなっており、2期連続して赤字を計上している。会社の赤字は、売上の低迷している中においても、多額の社長給与や支払家賃を計上していることが主な原因である。なお、現在までリスケ(銀行への返済条件の緩和)は行っておらず、返済が遅れたことはない。

(銀行の見方)

 中小企業の債務者区分の判断に当たっては、固定費の大部分を社長の給与や家賃の支払いが占める場合があり、こうした場合、社長給与の増減が売上の増減と相まって、会社の決算に大きな影響を及ぼすことになる。したがって、赤字の原因が多額の社長給与や支払家賃であっても、銀行への返済が社長個人の資産から賄われており、今後とも返済が正常に行われる見込みであれば正常会社と判断できる。なお、社長が個人的に債務を抱えていないことが必要です。

社長の息子の支援がある場合(C社)

会社の状況)
 C社は大幅な赤字経営になっている。社長には自宅兼店舗以外には見るべき資産はないことから、返済が遅れている。そこで社長はリスケ(銀行への返済条件の緩和)を申し入れした。その際、社長の息子が遅延している返済金の一括返済を行い、さらにその後の返済や最終の回収に問題が発生した場合には、息子自身が支払う旨申し出た。息子は連帯保証人になっていないが年収は900万程ある。

(銀行の見方)
 C社については、社長が事業継続に強い意志をもっているものの、会社の状況は今後経営難に陥る可能性が高く、破綻懸念会社とみる可能性が高い。しかし、社長の息子が遅延分の一括返済をしており、今後の支援意思の確認もできていて、息子の資力も問題ないことから、要注意会社と判断する。

技術力がある場合(D社)

(会社の状況)
 D社は景気低迷による金型需要の減少により、毎期赤字が続き債務超過になってしまった。しかし毎月の返済は遅れておらず、社長は金型業界では評判の腕前を持つ職人である。今まで社長が取得した特許権も複数あり、今後もメーカーからの受注は見込まれる状況である。 なお、設備借入につき、リスケ(銀行への返済条件の緩和)が行われている。

(銀行の見方)
 D社は業況不振により赤字を計上し、債務超過になっていることから、破綻懸念会社と見る可能性が高い。しかし、中小会社の債務者区分の判断に当たっては、その会社の技術力が十分な企業競争力を有し、今後の事業の継続や収益の向上に大きく貢献するのであれば、要注意会社と判断する。

販売基盤のある場合(E社)

(会社の状況)

 E社は安い輸入品の流入により、売上が大幅に減少し、3期連続赤字を計上し、債務超過に陥っている。しかし、長年の信用力の積み重ねにより、強固な販売基盤を有しており、新商品が業界関係者に好評であることから、従来の販売ルートに向けて拡販を準備している状況である。

 なお、リスケ(銀行への返済条件の緩和)は行われていない。

(銀行の見方)

 E社は売上が大幅に減少し、今後の業況回復の可能性が低いならば破綻懸念会社と見る可能性が高い。しかし、強力な販売ルートにより新商品が今後の収益改善に大きな貢献をするものと見込まれる場合には、債務者区分の判定に際し、要注意先会社と見ることができる。

中小会社の債務者区分の判定について

ここまで、金融検査マニュアルを参考に、銀行が中小会社の債務者区分を判断する場合の個別事例を取り上げてきました。とても重要なのは、社長が会社の将来の見通しと具体策を数字で説明することではないでしょうか。今後は、金融検査マニュアル別冊(下記参照)を見て、自分の会社に該当する事例を探し、銀行にアピールすることが必要になってくるのではないでしょうか。(http://www.fsa.go.jp/manual/manualj/manual_yokin/bessatu/kensa01.html